07/08/09 03:12:42
悲惨な事件や事故の後、その土地や組織に心理カウンセラーが派遣されたというニュースをよく聞くようになった。
もちろんマスコミは好意的な論調でその種の行政の対処を伝えている。しかし、私は違和感を持っている。
まず、基本的なことだが臨床心理士の資格は今のところ国家資格ではなく、民間の資格である。そのため国家資格化をめぐって、
それぞれの立場で攻防が繰り広げられている。心理学や精神分析は「一定の知的訓練を経た人なら実験や観察を通じて、
みなが納得できる知の体系」という意味での科学ではない。
したがって治療とその結果が比較的明確な医療行為とは厳然と区別されねばならない。
しかも心理学や精神分析の領域はそれぞれの学派によってかなり考え方が異なる。
こころとは形のないものであり、それを法的に規定することにはかなり無理がある。
こころの定義が曖昧なまま法制化されると隣接する他の領域、精神医学、宗教、教育などとの線引き、
役割分担、優劣がどのようになるのか、現場では混乱をきたすだろう。