08/10/28 00:07:07 0
2.2.3 動きの情報の統合
第一次視覚野第ⅣB・Ⅵ層→(V2野の太いCO帯)→MT野→MST野→7a野の経路に沿って、動きについての情
報の分析と統合が進んでいくことが示唆される。
2.2.4 MT野と視覚局所の動き方向の表出
MT野の細胞の多くは、刺激の動きの方向に選択的に反応する。たとえば、光スポットが受容野を左から右に横
切ったときには強く反応するが、右から左へ、あるいは上下では反応しない。また刺激の形と色に関しては選択
性を持たない。
MT野のユニークな特徴の1つは、個々の細胞に最大の興奮反応を引き起こす最適運動方向が脳の中で規則的に
配置されていることである。視野のある部分における刺激の動きを表出するセットが、0.5mm四方のMT野の微
小領域の中に、360度すべての運動方向にそれぞれ最大反応する細胞が揃ってる。
2つ目の特徴として、MT野の約半数の細胞の受容野が運動方向選択的な周辺抑制を持つことである。これは面
の勾配の検出に使われている可能性もある。
2.2.5 MST野と広視野動きパターンの表出
一般に第一次視覚野から経路に沿ってより高次の領域へいくほど受容野が大きくなる傾向があるが、MT野から
背側視覚経路に沿って次の領野であるMST野へいくと受容野が著しく大きくなる。MST野には、スクリーン上
を直線的に動く刺激に反応する細胞に加えて、広い視野に広がった広視野パターンの拡大、縮小、回転のそれぞ
れ反応する細胞がある。
2.2.6 形や色などの物体統合情報
腹側視覚経路は、第一次視覚野→V2野→V4野→TEO野→TE野で、物体視覚像の識別と認識に有用な情報の処
理が進んでいるはずである。
747:sai
08/10/28 00:07:50 0
2.2.7 V2野と主観的輪郭の表出
V2野の細胞の選択性(輪郭の方位、刺激光の波長、左右眼視差、刺激の大きさ)は第一次視覚野とほとんどか
わらない。主観的輪郭の知覚を引き起こす刺激に対する反応はV2野ではじめて現れる。
2.2.8 V4野と色の恒常性、曲率の表出
色の恒常性に対する細胞反応がV4野にあって第一次視覚野にはないという報告がある。V4野の一部の神経細
胞が主観的な色の見えに対応した反応をするのは、広くて強い受容野の周辺抑制野によって、受容野中心部をカ
バーする長方形領域からの反射光の波長構成を周りのたくさんの色の領域からの波長光の波長構成の平均値と比
較しているためと考えられる。
多くのV4野細胞が1つの彎曲形の曲率、方向、図形全体の中でのその彎曲形の位置に選択的に反応することを
観察した。
2.2.9 TE野における中程度に複雑な図形特徴の表出
TE野の細胞が物体の形をいろいろな周波数のフーリエ表現素に分解して表現しているという初期の研究の可能
性は低い。TE野の細胞の多くは中程度の複雑な図形特徴を抽出して反応していることが実験の結果結論された。
TE野には顔の提示に反応する細胞が存在する。TE野の半数以上の細胞は刺激の形に加えて刺激の左右眼視差に
も選択的である。
2.2.10 物体カテゴリーの表出
700個の細胞と1000個の刺激に対する反応の実験から、1つずつの下側頭葉皮質細胞は図形特徴に反応し、
物体カテゴリーを表すことはできないが、異なる図形特徴に反応するたくさんの細胞を集めてその反応パターン
の統計的な類似度を見れば、相当に精度よく物体カテゴリーを識別する表現を見いだすことができた。物体カテ
ゴリーの認知は下側頭葉皮質までのボトムアップの処理で行われている。前頭前野からのトップダウンの情報に
よって入力情報を解釈するような能動的な過程は必要としない。
748:sai
08/10/28 00:08:43 0
2.3 ヒトの大脳視覚野
第一次視覚野、V2野、V3野、V4野の間の位置関係はサルとヒトでおどろくほどよく似ている。
MT野の下の後頭葉腹外側部に広く広がるLOCと呼ばれる領域は、物体像をスクランブルした図を見ているとき
より複雑な物体像を見ているときに強く活動する。MTの背側にはヒトの体の像に強く反応するEBAと呼ばれる
領域がある。LOCの前腹側には被験者が顔の像を見たときに強く活動するFFAと呼ばれる領域がある。FFAの内
側の側腹溝から海馬傍回にかけたPPAと呼ばれる領域は、被験者が景色や建物を見たときに強く活動する。ヒト
では視覚刺激によって腑活されるのは下側頭葉の後半部だけで、FFAおよびPPAのさらに前の領野はどのような
視覚刺激でも活動上昇を示さない。下側頭葉の前半部は物体の視覚像を見て命名するときに活動するので、視覚
像から名詞概念への変換のインターフェースの役割を果たしている、あるいは名詞概念そのものが蓄えられてい
る考えられる。
2.4 選択的注意
日常生活の中でいろいろな感覚情報を絶えず受け続けているが、受容される情報の一部が選ばれ、行動や記憶な
どより深い処理に入っていくことを選択的注意と呼ぶ。19世紀に活躍したHelmholtzは視線を向けることなし
に起こる内的な注意を発見した。
2.4.1 早期選択モデルと後期選択モデル
両耳聴の実験結果より、注意の向いていない感覚入力が無視されることから、感覚入力処理の一連の過程のかな
り初期の段階で選択が働くという早期選択説が唱えられた。しかしパーティなどで注意を向けていない会話から
でも、自分の興味がある言葉がでると途端に知覚され、注意がその人の発言に向くことがある。注意を向けてい
ない感覚入力も意味処理の段階まで処理され、後期の段階でブロックされるという後期選択説が提案された。
2.4.2 空間、物体、モダリティーへの選択的注意
反応時間を測定することにより、空間(標的刺激の方向)、物体(標的刺激を含んでいる物体)、モダリティー
(標的刺激の色や縦横比や移動のスピード)に選択された注意があることがわかる。
749:sai
08/10/28 00:09:37 0
2.5 選択的注意の脳内メカニズム
2.5.1 選択的注意に関わる脳活動
後頭部の電極で記録される誘発脳波の測定で、刺激開始後P1成分(P:positive、潜時:100ms)に、注意
と刺激の位置が一致していたときの方が約2倍大きいという結果が得られた。これは注意の向けられていない刺
激の処理が一連の処理過程の中の比較的初期の段階でブロックされるという早期選択モデルを支持する。しかし
注意の向けられていない刺激による脳活動も小さくなるだけで0にはならず、後の処理段階まで弱いながらも伝
わっていく可能性を示唆している。
注意を制御する脳部位の場所はfMRIで調べられ、手がかり刺激提示直後、まだ標的刺激が提示される前に、活
動が高まった脳の領域は、下頭頂葉、前頭前野の背外側部、視床の視床枕であった。
2.5.2 頭頂葉損傷による半側空間無視
2.5.3 注意移動の3ステップ
空間的注意の移動には、解放、移動、捕捉の3ステップがあり、半側空間無視の患者の臨床テストから、頭頂葉
損傷が注意の解放に問題があることを示唆している。またサルの実験から視床枕が注意の捕捉に関わっているこ
とが示唆されている。
2.5.4 無視の範囲を決める座標
下頭頂葉の損傷では、自分を中心とした空間全体の中での反対側に注意が向きにくくなるだけではなく、それぞ
れの物体の中でもその反対側への注意が向きにくくなる。
また記憶にある風景を思い出してもらった場合でも、その眺める位置によって欠落する建物がかわることから、
無視が感覚入力の処理過程にあるだけではなく、処理された結果を脳の中で表現する過程にも起こっていると思
われる。
750:sai
08/10/28 00:10:12 0
2.6 まとめ
「知覚」についてはサルの視覚システムを使った研究で、相当に理解が進んだ。「認識」には、物体識別、弁別
をするだけではなく、それぞれの物体に関する他の情報の再現が含まれる。下側頭葉皮質細胞集団の活動パター
ンによる物体カテゴリーの表現は、その分類を示すだけであって、それぞれのカテゴリーに関する一般知識を表
すわけではない。海馬の神経細胞の中には、人の写真やその人の名前を書いた文字にも共通に反応したものがあ
り、モダリティーを越えた認識の神経基盤の一部をなしている可能性がある。
ヒトとサルの研究結果を合わせると、選択的注意を受けて感覚情報処理が変調される被制御側のメカニズムにつ
いてはほぼ解明された。しかし、変調を及ぼす制御側のメカニズム、および制御側から被制御側に制御信号を伝
えるメカニズムについては、まだ知見は限られている。
751:飛べないカラス
08/10/28 06:45:06 0
視覚野には黄金比に選択反応するニューロンがあると思う。黄金比からは生命力が感じられる。
美的感覚、表情、人相が関係してくる。
752:飛べないカラス
08/10/28 06:54:18 0
アナログ的挙動を示す巨大なニューロンネットワークを自動的に効率よいデジタルの信号処理に置き換える
プログラムはあるかな。シナプスの繋がっているニューロンとシナプスの特性を所定のフォーマットで入力
するだけでいいみたいな。
753:マモノ ◆RCgdZNW29g
08/11/03 23:29:02 0
うははのは。
754:考える名無しさん
08/11/25 21:09:52 0
質問ですが、人工知能と知的人工生命って何が違うんですか?
755:んなものどうでもいいだろ
08/11/25 22:33:24 0
>>754
作った仕組みで動くものと、生まれた仕組みで動くもの。
生まれるとは自己組織化とか、複製による多様性とか
その手のせめぎ合いで機能する仕組みを利用するもの。
作った仕組みとは、設計した通り機能させること。
756:考える名無しさん
08/11/25 22:48:35 0
>>755
生まれた仕組みを利用する人工知能があってもOK。
仮想空間または実在空間で体を持っていてそれが主であれば人工生命。
体がないか、あっても頭脳にあたるものが主であれば人工知能。
757:考える名無しさん
08/11/26 07:01:36 I
人工知能は体を持ってたらダメ?
そんなことは無いと思う。
機能設計されたものが人工知能であれば、
評価関数の最適化を自動で行うものはどうですか?
それは知的人工生命なのかもしれません。
758:考える名無しさん
08/11/26 10:06:54 0
>>757
ダメなんて誰も言っていないのでは?
設計されなくても、人工的に作られて、知的な動作をすれば人工知能だろ。
759:考える名無しさん
08/11/26 11:40:03 0
>757 :考える名無しさん:2008/11/26(水) 07:01:36 I
ID部分が "O"ではなく"I"てなんですか?
760:考える名無しさん
08/11/26 16:09:52 0
『意味と生命』
761:考える名無しさん
08/11/26 20:37:57 i
>>759
iPhoneです。
3G回線のときは、iになります。
哲板なんで言葉の定義を聞いてみました。
人工知能は知的人工生命よりも上位の概念なんですね。
762:高卒工員 ◆rysjzJ5XpQ
08/12/13 09:56:30 0
やっとユーザーインターフェース(ボディ)が完成した。
次はデバッガ(GUI/コンソール)に接続して連動テストする。
ではテスト用ダミーデータでもこさえるとするか・・・
763:考える名無しさん
08/12/13 11:48:38 0
○×3並べゲームでも作ったのかい?
764:考える名無しさん
08/12/14 13:12:17 0
結局は、知能ではなく計算。
知能が何かすらわかっとらん。
765:考える名無しさん
08/12/14 19:30:50 0
なるほど彼らの人工知能とは計算するということか。
766:考える名無しさん
08/12/27 13:12:52 0
>>764
あるよ。
以上。
はい、次。