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フクヤマは、レオ・シュトラウスというシカゴ学派の大御所哲学者の系譜に属する。アリストテレス研究の大家である。
『アメリカン・マインドの終焉』を書いたアラン・ブルームを介して、フクヤマは、レオ・シュトラウスに繋がる。
シカゴ学派こそは、アメリカの根本保守派の牙城である。ハーバードやプリントン、イエールなどの東部の名門リベラル派
大学を見くだすようにアメリカの学界に君臨しているのがシカゴ大学だ。皮肉なことにシカゴ大が、ハーバードの教師陣の
最大の人材供給源になっている。生来頭の良い人間は保守派になる。しかし本物の保守派をやっていると、アメリカでは
飯が食べられないので、そこで本心を隠して東部の諸大学に籍を置くというのが、アメリカの知識人の処世術である。
フクヤマも根本保守派であるのに、ハーバードでロシア研究を専攻した。そして、『歴史の終わり』は
ネオ・コン派の拠点である、アービング・クリストルが主宰する『ナショナル・インタレスト』誌に掲載された。この
事実が重要なのである。彼は、長くランド研究所(軍事研究の最高峰)に居たのだが、最近リバータリアンのノーベル賞
経済学者ジェイムズ・ブキャナンのいるジョージ・メイソン大学に移った。フクヤマは、自分をリベラル派と保守派の
両方を折衷できる極めて有利な立場に置いている。この有利な立場から両方の勢力を睥睨(へいげい)する。
フクヤマは、ウォルター・リップマンを目指しているのではないか。(了)
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝