06/10/18 11:34:07
―ハイデガー・フォーラムの挑戦(東京女子大学教授 森一郎・朝日新聞10月3日夕刊より抜粋)
「哲学の終焉と思索の課題」を統一テーマに掲げ、ハイデガー・フォーラム第1回大会が9月16・17日、
東京大学本郷キャンパスで開催された。
統一テーマは、ハイデガーの名高い論文(64年)からとられた。この題名に示された問題状況は依然
変わっていない。いや、「哲学の終焉」という言葉が陳腐に響くほど、考える営みに対する不信と絶
望は世に広がっている。これは、大学で哲学科の解体の進む学界内部のリストラ問題にとどまらない。
ものを考えても何の役にも立たないし、健康にも悪いからやめとけと大人が若者に勧告する時代なの
である。思考をめぐる殺伐とした状況から我々は出発している。
トクになろうがなるまいが、考えたくなる欲望。「そもそもXとは?」という問いと応答にふけると
きの、うずくほどの快感。結論の出ない議論にうつつを抜かすことの贅沢な喜び。一度味わったらや
められないし、やめろと言われるなら、いっそ人間やめたほうがいい。われわれのフォーラムはそう
言い放つひま人たちの砦でありたい。
哲学的討論の時空であるこのフォーラムが、ものをしつこく考え続ける阿呆どもの広場として、無思
考の時代へのささやかな抵抗の拠点となればと願う。
フォーラムの普段の活動は、主にメーリングリストによる
(ホームページはURLリンク(www.shujitsu.ac.jp))。