06/04/18 21:29:56
戸坂は、西田幾多郎(正確には田辺元)の門下では、自由主義左派の三木清と
並ぶ異端の双璧というところだな。
西田門下の主流(自由主義右派)は、高山岩男や高坂正顕など、戦争中の近代
の超克派(座談「世界史的立場と日本」)だろうけど、敗戦とともに彼ら西田
門下の主流は凋落して、戦後はともに獄死した戸坂と三木の哲学が評価された。
もっとも近年は、戦前の京都学派が再評価されつつあるようだが、あまり望ま
しい傾向とは思われない。それだけ現代社会が危機的な状況にあることの証明
かもしれない。
三木の場合は、かなり思想的な振幅が大きかったが、戸坂は唯物論的な立場に
首尾一貫して立ちながら、決して教条的でなく柔軟性に富んだ議論を展開して、
しかもまったくブレがなかった。