07/11/09 13:37:34 0
>ハリー・ハルトゥーニヤンという米国人の『近代による超克』(岩波書店、2007)
その本買って読んだけど骨が折れたよ。単行本で上下2冊だし。
だけど、1930年代の議論として戸坂の視点を復権をしつつ、近代の超克論や和辻哲郎、
柳田国男、三木清などの諸思想家たちの言説の性格を詳細に論じてる点は評価できる。
特におもしろかったのは、モダニズムというのが、単なる西洋文化マンセーではなく、
それへの反発的な心情をも併せもつこと。文明=物質的なものやテクノロジーは
肯定しながら、他方でそれに文化=精神的なものを対置して、そこに伝統や共同体的
なものを入れてきて評価するという点だろう。
モダニズムとは、最初からアンチモダン的要素を内包して成立しているということだ。
戸坂は、そうしたモダニズム(自由主義)に日本主義(国粋主義)への傾斜を感じ取り、
自由主義的な思想が、ファシズム思想へと容易に移行するメカニズムを解明した。
たしか『日本イデオロギー論』では、自由主義哲学の特徴として、形而上学、解釈哲学、
文学主義の三要素をあげて論じていたと思う。