□□□ 脳科学総合スレ □□□at PHILO
□□□ 脳科学総合スレ □□□ - 暇つぶし2ch270:sai
07/01/04 10:53:03
◇柔軟な判断を可能にした「脳の冗長性」 海部宣男・評

脳は空より広いか―「私」という現象を考える ジェラルド M・エーデルマン:著、草思社

 四三歳でノーベル医学・生理学賞を受賞した著者がその後取り組んだのが、意識のしくみを物理学・生物学・
進化論を基礎に解明しようという、壮大なテーマだった。本書は、四半世紀の研究で達した到達点を、
本人がわかりやすく凝縮してまとめた解説である。到達点の高さに加え、意識研究の最先端への入門としても、
出色であろう。
・・・
 さて著者によれば、人間はもちろん広く鳥類や哺乳類は、「原意識」と呼ばれる原始的・基本的な意識を
持っている。それはさまざまな外部刺激や内部刺激を総合して、現時点の自分の状況を把握する。原意識は
状況に応じた個別的な判断と反応を個体にもたらすから生存には有利で、選択的に進化してきたと見るのだ。
脳の生理学的・解剖学的見地からは、爬虫類からの進化のあたりで獲得されたのではないかと著者はいう。
 その原意識が生まれる上で重要なもののひとつが、同じ機能を持つ脳の回路が重複してたくさん存在する、
冗長性=縮退だ。脳の回路システムは、個体にとっての価値(もちろん、一番重要なのは生き延びること)
記憶を参照しながら結合を絶えず変化させ、知覚に対応して有利な反応を導くパターンを作り出すように働く。
その際、回路の冗長性が多様性を生み、柔軟な解釈・判断を可能にするのだ。脳内でそうした活動を行っている
総体を、著者はダイナミック・コアと名づけた。動的に変化するコアのプロセスに対応して、それと表裏一体の
転換である「意識」が必然的に表れると考える。それが、原意識だ。
 さらに著者は、これらを基礎に、人間の特徴である自己の意識と過去・未来という時間意識とを伴う
「高次の意識」への発展を展望してゆく。たいへん刺激的である。
・・・
 脳が将来コンピュータで模倣できるという見解を、著者は支持しない。脳の持つ莫大な冗長性を踏まえての
しめくくりは、「『私という現象』はこれからも変わることなく、自然からの最高の授かり物であるにちがい
ない」。
 現代的価値の高い、最後まで聴くべき講義である。(冬樹純子・訳)

URLリンク(hondana.mainichi.co.jp)


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