07/04/24 11:13:49
中沢の功績と呼べる部分は、日本の民衆にチベット密教を広く伝えた事。
罪と呼べる部分は、伝えた内容がニンマやゾクチェンであり、チベット密教の
うち土着信仰の一派に過ぎない事を伝えなかった事。故意かどうかしらんが。
その後の(日本のサブカルや中途半端な自称文化人の)チベット密教に対する
盲目的な礼賛傾向はこいつが諸悪の根源。というのは言いすぎか?
そういうわけで相変わらずその辺の区別がちゃらんぽらんになっている日本の
素人仏教ヲタク群(この辺の区別がきちんとついていて、判った上でゾクチェンを
選ぶのならそれは問題がないのだが、布教している怪しげな団体はそんな
事は一切教えない)に危惧を抱いたのか、ゲルク派の学僧及び彼らとつるんで
いる日本の密教学者群が近年それらの訂正を著書の中で始めたようだ。
結構な事だろう。浸透するには時間がかかるだろうが。
さて、島田がくだんの該当本で述べているのは、
・中沢の概歴
・中沢と(事件発生時の)オウムとの関わりについて
・中沢の発言にマルキシズムの濃い影響が見られる事。及び強い反米意識
・現在のアーレフ内部における派閥抗争と、依然として強い中沢の影響力
・近年の中沢発言に、テロ賛美の傾向があること
大雑把にこんな感じで、扱ってる範囲は狭いと言えば狭いが、良くも悪くも
戦後日本の思想界に一大ムーブメントを起こした中沢に対し、何らかの
興味を持っている人は読んでおいて損はないだろう。
思うに中沢ってのは時代の寵児だったのかもしれんね。
時代の寵児なら時代の移り変わりと共に消え去るのは自然の成り行きかもな。