06/01/05 12:43:23
なお司馬遼太郎の書籍を読んでいたら、「徳川家康の正妻・築山殿は鳥肉が大好物で、
毎日、鳥肉を食べていた」とか、西郷隆盛に「薩摩では、鶏は野菜ごわす」と言わせ
ていたりします。坂本竜馬も軍鶏が大好物だったそうで、暗殺直前にも使用人の若者
に軍鶏を買いに行かせていたため、その若者は難を逃れたそうです。
ちなみに鶏はときをつくる鳥であることから神聖視されやすく、江戸時代前期までは
食べることが禁忌。食肉として扱われた鳥類は、野生の水鳥や山鳥だったようです。
カモネギという言葉が残っているとおりカモはもちろんだが、鶴や白鳥も食べていた
と、記録がある。大型鳥だけに食いではあったと思われます。
海音寺潮五郎の「武将列伝」前田利家の項目によれば、「信長が鶴の吸い物をメイ
ン・ディッシュにした供応を催したさい、臨席していた利家の過去の功績を褒めた。
嬉しくなった利家は周囲に勧められるまま鶴の吸い物を過食してしまい、いらい鶴
の吸い物を食べるたびに腹をこわすようになった」という逸話が紹介されていた。
吸い物、というから羹にでもしたのか? とにかく鶴だけをとっても、戦国大名は
しばしば食べる機会があったことが窺えます。
蛇足。日本人の体格が戦国の動乱時代と文明開化以後に大型化し、江戸時代が最小
だった点については、食肉(を含む栄養バランス)よりもむしろ、「定住農村社会
の枠を越えて人間が盛んに移動するようになり、地域間の『混血』が進んだ時代だ
ったため」とする見解があるようです。
雑種優位といって、生物は遺伝子が平均化した純血種より、雑種のほうが大型化す
る傾向があるのだそうです。
以上、長文失礼いたしました。