07/07/11 14:20:55 FEGpujw0
>>119
『蜻蛉日記』ですね。この歌の前段に、作者の母の供養にあたっている僧たちが、
「みみらくの島」についての噂話をしている箇所があります。「はっきりと見えは
するけれど近寄れば消え失せる」、亡くなった人が向かうという島です。長崎県の
福江島がそこにあたるという説もありますが、はっきりしません。
この話をそばで聞いていた『蜻蛉』の作者が詠んだのが、お尋ねの歌です。
また、「みみらく」には「耳楽」=「耳に心地よい」の意が掛けられています。
《和歌通釈》 せめて(亡き母君がそこに)いるということだけでも遠くから見てみたいものだ。
耳を楽しませるとの噂がまことならば [=その名のとおりであるならば]、(母君がそこに
いるかどうかを)私に聞かせておくれ、みみらくの島よ。
この歌意は、その後に添えられた作者の弟・長能の歌をみるとさらにはっきりします。
「いづことか音にのみ聞くみみらくの島隠れにし人をたづねむ」
(人が死後に行く所と)噂にだけは聞いているみみらくの島、
そこに隠れた母君を、何を目当てにしてさがし求めたらよいのだろうか。
お尋ねの歌は、作者の母が亡くなって十日あまり。夫に絶望し、母を追って自分も
死にたいと思う作者の心情が重ねられたものです。 この程度の説明でいいですか?