老子について大いに語ってみよう・かなat KOBUN
老子について大いに語ってみよう・かな - 暇つぶし2ch173:名無氏物語
07/01/28 21:07:03 +ki5vvNC
左座獲山(さざえさん)

中国は隋の時代、長江に棲む魚を根こそぎ奪っていく、「銅鑼音呼(どらねこ)」という妖獣がいた。
聖獣白虎の化身と呼ばれ、鳴き声は銅鑼に似て、その音に引き寄せられた魚群を皆巨大な口に
入れてしまうという。そして、その余りの素早さに誰も銅鑼音呼を捕えられる者はいなかった。
銅鑼音呼の被害に悩まされた漁民は、三国時代の仙人左慈の孫である左座に、退治を依頼した。
左座は、銅羅音呼が現れたと聞くと、普段履いている鉄下駄を脱ぎ捨て裸足になった。そして、
妖気を発して天空を飛び駆けて南にその後を追ったという。しかし、口一杯に魚をくわえた銅鑼音呼を
捕える事は出来なかった。失敗した左座は、「自分は本来山にこもる仙人であり、山のものなら
獲らえられたであろう」と言い訳をした。漁民達は左座をあざ笑い、漁民の長である盲目の王飛(おうひ)
もまた彼を笑った。左座をあざ笑う声は長く長く続き、みな笑い転げた。 
面目を潰した左座は自らを恥じ、その後流浪の日々を送り、やがてその神通力も失い、気が転じて
狂人となったという。

この故事を後の詩人李白が詩に残している。

御魚加得多銅鑼音呼追駆手 (おさかなくわえたどらねこおっかけて)
裸足出駆天空妖気南左座獲山 (はだしでかけてくようきなさざえさん)
民長笑転流 王飛様盲笑転流 (みんながわらってる おひさまもわらってる)
流流流流流流 狂妄異異転気 (るるるるるる きょうもいいてんき)

言うまでもなく国民的名作「サザエさん」はこの故事や、それをもとにしたこの詩を由来としているのである。


民明書房刊『長谷川とは長江也』より


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