02/12/16 19:12
>>36
(続き)
大学のくずし字読解実習では,証文系の地方文書のコピー・影印本を解読する
ところから始めるのがオーソドックスだけれど,趣味で気楽に読むのであれば,
江戸時代の寺子屋同様に,一冊を通してくずし方にバラツキが少ない版木物
(往来物,特に小倉百人一首系)あたりから始めた方が長続きすると思う.
特に小倉百人一首の大判の版木物は漢字のくずし方(筆使い)が良く分かり
仮名の読解には最適と思う.
最近の大学図書館では,江戸時代の版木物等の影印本をウェッブ・サイト
で公開しているから,好きなジャンルの資料を選んでダウンロードすればよいのでは.
東京学芸大 望月文庫(往来物コレクション):URLリンク(library.u-gakugei.ac.jp)
版木のコンディションの良い小倉百人一首解説本は
URLリンク(library.u-gakugei.ac.jp)
東大 霞亭文庫:URLリンク(133.11.199.8)
立命館大 林コレクション等検索:URLリンク(www.arc.ritsumei.ac.jp)
最後に,これまでのくずし字解読本は,くずし字を「眺めて」解読という
アプローチがほとんどだったけれど,柏書房の「覚えておきたい古文書
くずし字 200選/500選」は,くずし字を「書いて」覚える視点(ペン字体
収録)が含まれているのが新味かな.また,駒井鵞静の「つづけ字の知識
と書き方」や「くずし字の知識と書き方」も「書く」側から学ぶアプローチ本として
使えると思う.
因みに,「つづけ字の知識と書き方」には,当該スレが立つことになった
原因の一つと思われる明治の楷書先習の書道教育についても触れている(25頁).