10/02/13 13:48:10 KBQyinvR0
>>571
>史学板に相応しいかはよく解らないが、法学的には以下の根本問題がある。
なるほど。では一つづつ検証してみましょう。
>1、事後法の適用について、何の説明もなされていない。
事後法批判は罪状に対して主に弁護団から発せられた反対意見によるものと、その派生及び
パル判事の意見書に見られます。まず、訴因の要素は「平和に対する罪」「通常の戦争犯罪」で
構成されています。後者については犯罪発生時に日本も批准していたハーグ陸戦条約違反によって
導かれた罪状ですから議論の余地はありませんね。捕虜の不当な徴発や拷問、殺害は国際法違反です。
概ね問題になるのは前者です。主要な批判は新たな法概念で裁くのは遡及的法運用であり、
罪刑法定主義からも不当だというものですね。ですが、この批判にも問題があります。
まず、平和に対する罪というのは不戦条約、国際連盟規約などの国際法(日本も批准していました)の
法理を包括的に定めたものであって、決して「新たに創造された法」ではありません。
また、罪刑法定主義というのは刑法上国家が個人を裁く際に遡及的な法によって裁くことを不当だと
するものであって、国家の指導的地位によって起きた戦争犯罪を裁くという法理の国際法として
用いるべきではないという国際法学者の批判があります。