09/09/19 19:55:37
ところが、唐との関係が安定するにしたがって、新羅にとっての倭国の
格付けが下がり、また次第に華夷思想が受け入れられてくると、新羅の
始祖が渡来倭人であったとする神話は都合が悪いってことになってくる。
そんなわけで、神話の部分的改変が行われたんじゃなかろうか。まず、
始祖の渡来倭人王のキャラクターは分割され、卵生を特性とする始祖王
朴氏と、渡来倭人の能臣瓠公になったんだろう(朴と瓠は同じヒサゴを
意味する)。また、キャラの分割という方法によらず、始祖から代数を
ずらし、倭人の設定を少し変えたのが、第四代王の脱解だったんじゃ
なかろうか。倭人か否かと議論になってる曖昧な部分はそのように
出来上がったのだと思う。
この脱解は瓠公の家を詐取したという少々トリッキーなキャラクターだが、
他の説話が取り入れられることで、いたずら者のキャラが加味されたのかも
しれない。なお『三国遺事』には瓠公の宅地詐取の際、脱解が自らの祖先を
鍛冶屋と称したとあり、外来王と鍛冶が結び付けられているのは注目される。
鉄を求めに渡来した倭人のイメージが取り入れられたとも考えられる。