「魏志倭人伝」等を読む (New 1)at HISTORY
「魏志倭人伝」等を読む (New 1) - 暇つぶし2ch255:どくだみ
08/03/06 18:06:00
先ずは、資料を取り扱うときの注意点から。
説文は、許慎が古文学者であることから編纂された書物です。
漢代には既に読めなくなっていた古い文字で書かれた経書が古文経書。
それを研究する中で編纂されたのが説文です。
つまり、説文は、先秦時代の古い時代の意味・用法について書かれているのです。
一方、以前、別の方も指摘されていたように、数詞+許+名詞の用法は後漢時代くらいから
用いられるようになったようです。
つまり、数詞+許+名詞の用法を議論するのに、
「説文にこう書いてある」というのは意味が無いのです。

許が裁判所云々も、白川静みたいに文字学をやるのなら、発想としては面白いですが、
三国・晋の時代の用法を議論するのに持ち出すには、見当はずれな話題です。
甲骨文字の時代から、時間が経ちすぎています。

廣韻に「許、許可也」とあるから、aboutではないと言うのなら、
同じく廣韻に「期也、限也」とある「程」が、何故aboutの意味になるのですか。
そもそも、程は十髪=一程、十程=一分 十分=一寸 という風に、
度量衡の単位として、明確に定められた値を意味していた言葉でしょう。
原義が「限定」というのなら、許より程の方が、よほど「限定」の意味が強いでしょう。
それなのに、程はaboutの意味に転化し、許が転化しないという合理的な理由はなんでしょう。

「程」の辞書的な意味として、「・時間の度合い・おおよその経過」があったとして、
それが、実際の漢文のなかで、どのように使われているかは、検証しましたか?
言葉の押し花では、意味が有りません。
どのような句型で、何時ごろの時代の文章に使われているのでしょうか。
それを調べないで、辞書に書いてあるからでは不十分です。
例えば、三国志の中で、程がおおよその意味で使われている部分は何処ですか。
私は、見つけられませんでした。
国語の辞書には「程」に「おおよそ」の意味がありますが、
大漢和辞典には「程」に「おおよそ」の意味はありませんでしたよ。


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