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『中央公論』 2006年11月号
北朝鮮帰還事業の爪痕
旧ソ連極秘文書から読み解く、「北」のシナリオと工作
─金日成は帰国運動をどう利用したか
菊池嘉晃 / 『読売ウイークリー』記者
終戦直後の帰還と在日社会
ところで、在日コリアンの朝鮮半島への帰還は、帰還事業が最初ではない。
最初で最大の波は、終戦直後にあった。この時の状況について触れておこう。
戦前、日本の植民地支配下の朝鮮から、生活の道を求めて、あるいは戦時中の
労働動員などで渡日した在日コリアンは、45年8月の終戦時、約200万人を数えた。
その後、50年前半までに約141万人が朝鮮南部(48年8月から大韓民国)に帰国。
北部(同9月から朝鮮民主主義人民共和国)には47年に351人が帰国した。
南への帰国者が圧倒的多数だったのは、在日の95%以上が南の出身だからだ。
また、北への帰国は北の出身者に限られており、南出身者が多数だった、のちの
帰還事業とは異なっていた。
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きくちよしあき 1965年生まれ。87年に読売新聞社入社。社会部、地方部などを経て、
週刊誌『読売ウイークリー』担当。北朝鮮・韓国関連などの取材を続ける。94-95年
には韓国・成均館大学大学院に留学、2000年にまとめた北朝鮮帰還事業に関する
論文(韓国語)で修士号。