09/10/13 20:52:36
>>490
② に対する答え、F.Harry Stow! (ネタじゃなく、ギリシャ語で「ありがとう」
と言うにはこの人物の名を発音すればいいとある英語の本に書いてあったので、何も
知らないイギリス人に発音させたらそっくりだったわいw)
おいおい、問題よく読めよ。ドーリス方言(プロパー)の問題じゃないっちゅーの!
もっとも属格は同じだから正解だが。
プサッポー女史の使った ωρανω (= ουρανου), μεσσω (= μεσσου)
からも明らか。これはサービス問題。
でも複数対格は直接は出てないよなー。じゃあ、ドーすれば分かるか?
αΐοισα, λίποισα が現在(アオリスト)分詞の女性単数主格形なのは分かるでしょ?
(= αιουσα, λιπουσα; 後者はアクセントの位置に注意)
そのギリシャ「祖語」形って分かる?
*aiontja, *lipontja がそれ。cf. 男性形: *aiovts, *lipovts > αιων,
λιπων.
女性形では、*-tja がまず -sa に変化して、その前の -n- が消失。その代わり
直前の母音が代償延長(Ersatzdehnung) されて長母音化するが、その o: が
そのまま保存される(ω)のがドーリス方言、u: に狭母音化する(ου)のがイオニア方言、
そして oi に二重母音化するのがアイオリス方言やがな。
男性名詞 logos の「祖語」における複数対格は *logons (この形はクレタ方言に保存される)
やから、上の音韻変化を基に logois (λογοις) なる形が推測できるでしょ。
因みに分詞の男性形に現れる ω は代償延長によるものではなく、元の「延長階梯形(Dehnstufe)」。
πατηρ (語根は pater-) などの η<ε と同じもの。だから、イオニア方言形でも ω のまま。
ここでもう一つ問題です。
上の代償延長形において、ドーリス・イオニアいずれの方言も母音の長音化という点では一致するのに対し、
アイオリス方言では二重母音化している。このような類例を他のギリシャ語などの言語事実から
分析せよ。
この辺りからちょっとばっかし高度になるでw