03/07/25 00:44
★奈良期経典にカタカナの元字
奈良時代に日本で書かれた仏教経典に、カタカナの元になったとされる文字が、特殊な
筆記具で記されていることが分かりました。経典は東大寺所蔵の「大方広仏華厳経」で、
カタカナの起源を探る上で貴重な資料と考えられています。
この経典は東大寺が所蔵している「大方広仏華厳経(ダイホウコウブツケゴンキョウ)」で、
奈良時代の七百六十八年に日本で書かれたものとされています。
徳島文理大学の小林芳規(コバヤシヨシノリ)教授が調べたところ、漢文の経典を読み下
すために、角筆(カクヒツ)と呼ばれる棒の先を尖らせた筆記具を使って文字や符号が記さ
れていることが分かりました。
このうち、「住居」の「住」という漢字の横には「世界」の「世」を崩した文字に続いて「利益」
の「利」の「のぎへん」を省略した文字が記され、「住んでいる」という意味の「じゅうせり」と
読むための送りがなと見られています。
漢文を読み下すために使われたこの「リ」のような漢字を省略した文字はカタカナの元に
なったと考えられ、七百四十年ごろに伝わった朝鮮半島の新羅の経典に書き込まれている
のが去年、見つかっています。
今回の発見はこうした文字の日本国内での使用例としては最も古いもので、新羅の経典
が伝わった後に書かれているため、小林教授は「カタカナの元になった漢字を省略した文字
が新羅から伝わった可能性がさらに高まった」と話しています。
この研究成果はきょう(二十四日)富山市で開かれる国際学会で発表されます。
[2003-07-24-11:04]
NHK URLリンク(www3.nhk.or.jp)