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琉球方言圏内部の方言差のおおきさもまた目をみはらせるものがある。
おおきな島ごとに方言がおおきくちがい、ひとつひとつの集落ごとにこまかく
ちがっている。列島の位置、そして地形とそれに規定された歴史の発達のおくれ、
そして集落ごとの共同体の結合のつよさがこのようなゆたかな方言差をうんだのであり、
列島全体があたかも方言学の博物館のようである。ここでは各島ごとの
分岐作用のほうが本土方言、そして琉球王国の首都の首里方言の列島全体に
対する収束作用をうわまわっている。
列島を構成する北から奄美、沖縄、宮古、八重山の四諸島のうち、
沖縄諸島と宮古諸島とは三百キロちかいひろい海にへだてられていて、
間に島影をみない。琉球方言はこれを境に北グループ(奄美沖縄方言群)と
南グループ(宮古八重山方言群)に明瞭に二分されるが、両者の間は
たがいにまったく通じないし、両群内でもたとえば奄美本島大島と
沖縄本島の方言の間はたいへん通じにくく、また宮古島と与那国島の
方言の間についても同様である。