07/01/24 22:19:56
>>921
それから、カリ活用の言語史的意味さえも全然理解できてないね。
平安時代までは、形容詞語尾の「し」などはアクセント上別単語。
形容詞語幹のアクセントに全く影響されず、
下降調という固有のアクセントを持っていた。
つまり、形容詞限定でつく言い切りの終助詞の一種とさえ考えられる。
ところが、「し」「き」「く」が形容詞に「ビルトイン」された時期は、
まだ言い切りの助動詞「なり」が成立する前だったので、
後世、名詞文で「なり」を自在に使えるようになると、
形容詞の表現法が相対的に制約されてしまうことになった。
しかも、一定の形容詞的単語に「なり」を直接接続させた
「形容動詞」という形が生まれた。ますます形容詞はつかいにくい。
それで、「く」を付けた連用形の後に「なり」を接続させて、
再びビルトインさせたのが「カリ活用」だ。
これで分かるように、形容詞文の運用方法の発展は、
名詞文の運用の発展と連動していて、動詞文の発展とは全然連動していない。
日本語の形容詞は動詞のようなものだと言うのは、
文法運用の点からはあまりにも表層的過ぎる。
コピュラの発展などは、偶々だが印欧語と並行変化に近い。
ちなみに、形容詞の語幹が嘗てそれだけで不変化独立詞だったことは、
今の関西弁にもこれはよく引き継がれている。
「早!」「遅!」「暑!」感嘆する時は語幹がむき出しだ。