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産経新聞 平成9年12月12日(金)夕刊
戒厳軍が朝鮮人救済~関東大震災直後 噂ハ虚報。虐待スルナ
デマに踊る自警団制す 1200人治療 希望者送還
横須賀で2資料発掘
大正十二(一九二三)年九月一日の関東大震災が発生した直後、神奈川県横須賀市で、
旧日本軍がデマによる朝鮮人殺害を懸念し、二百人以上の朝鮮人を保護するとともに、延
べ千百余人の被災朝鮮人の治療を行い、希望者を朝鮮半島に送っていたことが、十二日ま
でに中村粲・獨協大教授の研究で明らかになった。教科書では、関東大震災が発生した際、
東京都内や横浜で朝鮮人が多数虐殺された事件に関連し、「旧日本軍も関与した」とする
説明が記されているが、資料では、保護された朝鮮人側が謝意を表明し、震災復興費用を
寄付したケースもあるとしている。(金子聡)
中村教授によると、旧日本軍による朝鮮人保護を記しているのは、横須賀市震災誌刊行
会が昭和七年に発行した「横須賀市震災復興誌」と横須賀市在住の元大蔵省職員、毛塚五
郎氏のまとめた「関東大震災と三浦半島」の二資料。
この二つの資料によると、震災直後、「朝鮮人による暴行があった」などとするデマが
流れているという情報を入手した軍当局が、「概ネ虚報ナリ」として、朝鮮人による暴行
や井戸への毒の投げ込みなどのうわさは「デマ」であると判断。市内の重砲兵連隊「不入
斗(いりやまず)練兵場」に朝鮮人を保護し、市内各所に「デマに惑わされないように」
とする掲示を出してデマの沈静化を図った。