07/12/17 19:15:07
中国「売国奴を美化」と批判 金獅子賞の歴史映画で激論
2007.12.17 18:04
抗日戦争期の中国を舞台に、今年のベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞した
台湾出身のアン・リー監督の「ラスト、コーション」が中国で封切られた。
しかし、日本に協力する「漢奸(売国奴)を美化し歴史を歪曲(わいきょく)」しているとの
批判が上がり、映画支持派との間で論争が白熱している。
映画では、主人公の女性が日本に協力する情報将校を暗殺しようと接近、
肉体関係を結ぶが次第に愛が生まれる。使命と愛欲の間で揺れる男女の心理を鮮やかに描いた。
中国では過激なベッドシーンなど約十二分間がカットされて十一月に封切られた。
だが、情報将校が人間味ある人物として描かれていることを、作家の閻延文氏らは
「漢奸が民族を売り、抗日活動家を虐殺する残虐性を覆い隠している」と歴史的角度から批判。
漢奸を好きになるというストーリー展開が「抗日活動家や民族精神を侮辱している」とした声も多い。
ある文学研究者はこうした批判が出る背景について「中国ではマルクス主義的な階級闘争史観や
伝統的な儒教道徳などの影響で依然、歴史上の人物像を善玉、悪玉に単純化するのを好む傾向が
ある」と分析。一方で価値観の多様化も進んでおり、「映画は漢奸を人間的に描いただけ」
「芸術を政治と結び付けるべきでない」と反論する映画擁護派も少なくない。
中国では、従来の「極悪非道」といったイメージを打ち破る人間的な日本兵を登場させた映画
「鬼が来た!」(二〇〇〇年)が「日本軍人を美化した」などとして上映禁止となったこともある。
(共同)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)