08/10/15 20:51:23 tuFlM8ox
ニュールンベルグの近郊にある小さな町、アルドフは、ほとんどの百科事典や地名辞典にも載ってな
いが、ウィリアム・テルが息子の頭に向けて弓の矢をいたということで有名なスイスの同名の町のほ
うはしっかり掲載されている。だが、前者のほうがずっと重要な意味を持っている。ここ
は、近代の人間が、自分の祖先はもしかすると何百万年も前にさかのぼるのではないかと
考え始めた場所なのである。
そのきっかけを作った男、ヨハン・ヤコブ・ショイヒツァーは、そんな考えを聞いたら恐れおののいて
しまったことだろう。彼は、聖書の一字一句が真実であると信じていた敬虔なクリスチャンだっ
た。それを立証しようとする過程で、彼は古代の絶滅した生命体の科学である古生物学と
いう分野の奔流を解き放ってしまったのである。
それはどうも1705年のことだったらしい。ショイヒツァーは正確な日付を記録することは無かっ
たが、とにかく彼はランガンスという名の友人と散歩をしていた。2人の若者はどちらも学生で、
頂上に町の絞首台のある丘に登り、一息入れてまわりの景色を眺めた。ホップ畑が夕刻の陽
射しを浴びて、黄金に輝いていた。ショイヒツァーは、足元にある大きな岩に気づいた。岩そのも
のは灰色だったが、その中に、数本の脊椎がはっきりと見えていたのだ。ショイヒツァーをそれを
さしてこういった。
「ほら見ろよ。大洪水が本当に起こったという証拠がそこにあるじゃないか!この背景は
人間のものだよ。」