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ウォルフレンさんは、オランダの王室に並々ならぬ誇りを持っている。
「何も我々は、女王様だから偉いと思ってるわけじゃない。人間的にも非常に
優秀な方だし、オランダにはなくてはならない方です。一人で街に出て買物も
される。又、国民がそれを暖かく見守っています」と手放しで絶賛する。
「どうだ、日本とは違うだろう」と言わんばかりだ。
「日本でも皇室の方々は一人で散歩に出、買物に行きたいと思ってるでしょう。
でも、警備がゾロゾロつくし、又、天皇制をめぐる左右の争いがまだあって、
危ないと思われている。この点だけはオランダの方が進んでますね」と言った。
「そんなにオランダでは女王さまを尊敬してるのなら、次も女王さまなんですね」
と訊いた。「いえ違います。オランダは民主的です。男女にかかわらず第一子
が王位を継ぎます」と言う。「今、第一子は男の子です。だから次は国王です」。
そうなのか。「第一子が王位を継ぐ」と決めているのは、オランダの他、
スウェーデン、ノルウェー、ベルギーだ。日本の女性天皇論者は、この方式を
支持している人が多い。
「じゃ、 オランダの王室も安泰ですね」と訊いたら、チラッと軽蔑的な目で
睨まれた。「我々は王位を尊敬してるわけじゃありません。王位についた人が
立派だから、尊敬し、支持してるんです。能力のない人ならば、やめさせます。
それが民主主義です」と凄いことを言う。じゃ、次の国王はどうなんだろう。
「余り優秀じゃないですね。だからオランダはこれで王室も終わりかもしれません」
と悲観的なことを言う。