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カレル・ヴァン・ウォルフレン『もう一つの鎖国 日本は世界で孤立する』
(角川書店)
振り返ると、日本について私が初期の著作で書いた内容を批判し、その信憑性を
覆そうと画策した勢力が外務省の中にいた時代が、今の私にはむしろなつかしい。
なぜなら少なくとも当時は、外務省の役人も国の命運を懸命にに考えているように
見えたからだ。
ところが、現在の外務省にはそういう人々がいない。外務省が現在直面している
事態は深刻なものだ。日本の官僚たちの重要な機能は、普段から舵取りの利かない
国が望ましくない方向へ流れたと感じたときにブレーキの役割を果たすことだ。
だが、最近の外務省はこれを全く行っていない。無能な政治家が害を撒き散らさぬよう、
措置を講じるべきなのに、外務省はその役割を放棄してしまったらしい。
そうでなければ、近年の日本の対アジア外交がこれほどまでに悪化するはずがない。
例えば、日中関係だ。これこそ外務省官僚の介入が絶対的に必要なのに、その
気配がない。