06/10/18 15:30:04 0
「日本異質論」はどうしてこうもネガティブに捉えられるんだろう?
うわべのレッテルや宣伝に惑わされるから表層的に誤解されるのだ。
いわゆる四人組の議論のスタンスは日本研究と日米研究の二通りある。
このうち、日本研究の方はいまでも高い評価に値すると俺は考える。
つまりチャーマーズ・ジョンソン=ウォルフレン ラインの日本研究だ。
ジョンソンの『通産省と日本の奇跡』は日本語版を元通産次官が翻訳した
著作で元次官もこれを優れた政治学書だと認めていた。それがウォルフレン
の論文「ジャパン・プロブレム」と『日本権力構造のなぞ』で一気に悪評に
転じてしまった。それは彼の研究がジョンソンを土台にしていたからである。
また言うまでもないが、ウォルフレンの著作を評価するのは容易ではない。
彼自身があまりに毀誉褒貶の激しい大論争に巻き込まれてしまったからだ。
ジョンソンは通産省という権力集団に焦点を合わせて戦後日本の「水先案内人」
的機関だと結論した。権力の継続性というアイデアを体系的にまとめた点は
ウォルフレンがその「先駆的著作」と評した通りだ。またウォルフレンは
丸山真男の「無責任体系」を模倣しただけだとよく言われるが、とても正当な
評価とは思われない。彼の著作は非常に膨大なアイデアを合流させており、
ジョンソンはその一人にすぎない。ただジョンソン自体の思想系の位置づけは
ウォルフレンの規定が将来も変更されることなく最終的なものになりそうだ。
この二人が日本に異質性を見出したという風説は著書をきちんと読んでいない
一部の政治勢力が流したデマである。このため二人とも弁明を余儀なくされた。
学術的にまじめな研究が見過ごされて、不当な政治宣伝の犠牲にされたのだ。