06/10/17 22:49:36 0
《日本語版への序文》
この国は確かに道を何度も誤って、最後には第二次世界大戦という破滅を
迎えた。だが日本近代史は、一種のサクセスストーリーでもある。日本は、
他の国と同じで完全無欠ではない。一時は軍国主義的な権威主義に陥り、
多大な命を犠牲にして、国中が焼け野原になってしまった。しかし、そんな
惨状を乗り越えて、今では比較的自由な経済大国となり、豊かな文化や
活発な知的活動を楽しめる国になった。だから本書を、日本人の犯した
過ちを一つ残らず列挙した告発状と思って読むと、違和感を覚えると思う。
私としては、少なくとも半分以上は、日本人が成し遂げた業績を称える
つもりで本書を書いた次第である。
『近代日本の誕生』(イアン・ブルマ、ランダムハウス講談社)