05/10/30 20:29:28 0
平壌が統一朝鮮首都になった翌日、私は妻とともに散歩に出かけた。
もう冬だというのに木は青々としている。
人々の表情は希望と活気に満ち、額から流れる労働者の汗が太陽光を反射していた。
「南北が憎しみあう時代は終わったのだな」
昨日までとある南鮮の企業に勤めていた朴さんが、ほっとしたように私たち夫婦に言った。
「ええ、これからは人が人を支え合う時代なんですよ」
普段は滅多に話に加わらない妻の宝児が、朴さんの肩に手を置いて優しく言った。
「シウッというハングルを御覧なさい。二本の線がお互いを支え合っているじゃないですか」
通りがかりの泰三似の中年男がそう言って微笑んだ。
在日僑胞は長年住んでいた日本の土地と家を奉還し、大同江岸の共同住宅を借りた。
「日本はもう不要だ。これからは世界中に統一朝鮮の実力を伝えよう」
一人前の人民の表情で男は言った。
青空のなかををステルスが横切っていった。