06/04/19 01:30:13
「それではメイナー、今では私たち二人だけとなってしまったこの友愛団を、
新たな回心者と味方を加えてふたたび甦らせようという希望が、あなたには今でもあるのですか。
外なる世界へ通ずるあの恐怖の門を通り抜けることができる人間は、
千年に一人も生まれてこないということを、あなたは経験からご存じのはず。
たしかに。あなたの歩まれた道程を振り返って見れば、そこには犠牲となった者が一面に散在してはいませんか?
恐怖と苦痛にゆがんだ蒼白い顔―血を流す自殺者、凄惨な狂人―かれらの姿があなたの前に立ちはだかり、
人間への思いやりの情がわずかにでも残っているのなら、狂った野望を捨てろと警告していませんか?」
「ありえぬことだ。失敗を埋め合わせる成功がなかったと言うのか?
我々高位のある者のみに許されている、崇高にして厳粛なる望みを―自分たちが堂々たる制覇をなし、
人間たちの上に君臨しているのだと自認できるだけの威力と権力をそなえた偉大な種族の数をまそうという望みを―
―この惑星の真の主となろうという望みを―不死の運命をもって、天界の栄光をひとつ、またひとつ昇りつめ、
最後に玉座の中の玉座を囲む側近の仲間入りをすることになる種族をふやそうという望みを―
―この私に、その望みを棄てることができると思うか?
我が友愛団への帰依者が一人でも得られるならば、千人の犠牲者を出すことさえ厭いはしない。ザノーニ」