06/02/20 10:07:31
>>85
フランク族の戦いの歌が私に起こさせた感動は電流のように体を駆け抜けた。
立ち上がって、広間を端から端まで歩き、床の敷石で足音を響かせならが大声
で「ファラモン、ファラモン、我らは剣をとって戦えり」と繰り返した。この
瞬間の熱狂が、将来の天職を決定づけたといえるかもしれない。その時は、自
分の中に今しがた起こったことを全く自覚していなかった……しかし、職業選
択で必ずぶつかる暗中模索の時期を経て、全身全霊を歴史に打ち込み出した途
端に、我が人生のこの出来事が驚くほど正確に些細な状況までふくめて蘇った。
今でも、かくも心を打たれたその頁を読み聞かせてもらったら、三十年前の感
動に再び浸ってしまう。