03/09/17 14:38
終戦から一ヶ月あまり。シベリア鉄道に延々と揺られ、モンゴル国境に近い
バレイ収容所に着いたのは、昭和20年9月26日のことだ。～中略
死者は健康者からも出た。腹が減ってよろめいてトロッコの下敷きになったり、
切り倒した木をよけられず死ぬ者もいた。
みんな腹が減っていた。ソ連は卑劣なことに、食べ物でつる。ノルマを達成する
と、券をくれて増食してくれる。券をもらうためにずいぶん多くの仲間が無理
して死んだ。死者を大八車で埋葬地に運んで埋めるのも私たちの仕事だった。
何人の仲間をそうやって見送ったことか・・・。～中略
『帰りたいな・・・』と言いながら死んでいった仲間のことが忘れられなかった。
（金子鉄雄 9月17日 産経新聞）