03/08/20 01:24
こうして一般の人々は、怒涛のごとく殺到するソ連軍の前に、裸で放り出された。徒歩で
逃げまどう日本人の集団は、たちまちソ連軍機甲師団に追いつかれ、戦車に蹴散らされて
ひき潰された。包囲され追い詰められた開拓団は、いたるところで集団自決した。言語を絶す
る恐怖の実態を、われわれは奇跡的に生き延びた人たちの証言で断片的に知るしかない。
戦争末期の極限状態であらわになるのは、敗戦国の本質だけではない。戦勝国の本質も
あらわになる。ソ連軍が進駐した町では、悪夢のごとき略奪、暴行、強姦、殺人が荒れ狂っ
た。しかも、これは、8月15日以降におきたことである。
これは、その3カ月前にドイツで起きたことの再現であったと半藤氏は述べている。エルベ川
の東で、4歳の子供から老女にいたるまで、暴行されなかった女性はほとんどどいなかった。
一週間のうちに250人のソ連兵に暴行された少女もいたという。ソ連戦車がドイツ人の避難民
をひき殺しているという報告を受けたとき、スターリンは上機嫌で、「兵士たちに少しは自主性
を発揮させてやれ」といったそうだ。
略奪は前線兵士への報酬だといわれる。しかし、ソ連の場合には、国家の方針だったことが、
その後明らかになった。約60万人の日本人(軍人と一般人)がシベリアに抑留されて
強制労働につかされたからだ。
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