03/09/17 21:45
>>154 しらん
>>155 ずばりはない。参照「天下」。
古代中国に由来し,文字どおりには全世界を意味
し,〈天子〉の統治対象を指す語。〈天子,民の父
母作(た)り,以て天下の主と為る〉(《書経》),すな
わち〈天〉から〈命〉を受けた〈天〉の〈子〉が,〈天〉
の〈下〉全体の最高支配者となると考えるのであ
る。したがって,〈天下〉に正統な天子は1人しかあ
りえず,外国を予想する〈国〉と違い,〈天下〉には
理論上,境界線がない。それゆえ,〈天下〉の語は
普遍性の語感を伴い,同時に,〈天下の人心〉〈天
下の河り〉の句の示すごとく,ある権威を感じさせ
る。日本では,元興寺塔露盤銘(596)に〈大和国天
皇斯帰嶋宮治天下〉とあるのをはじめ,遅くも6世
紀末以降天皇に関して〈治天下〉と表現した例が
多く,《古事記》も各天皇について〈……の宮に坐
しまして天下(あめのした)治(し)らしめしき〉と反復し
ている。すなわち,こうして天皇を中国の天子に
類比し,その統治対象たる日本列島の一部を全
世界とみなし,そこにおける最高支配者であるこ
とを主張したのである。原義からすればやや奇妙
だが,こうして〈日本全国〉が往々天下と呼ばれる
ようになった。
つづく