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の罪穢を祓い,災厄を除いて清浄を回復し,1月と
7月の祖先の霊魂を迎えるさまざまな行事の中で
新しい生活を開始した。仏教が伝えられて,7月の
行事は仏教的な形をとって盆の行事になった。日
本人の間には,1年を1月と7月の行事でくぎる習
慣と,4月と10月の祭りで分ける習慣があり,二つ
が複雑に重なり合っている。
共同体の祭り以外に,人々は生活の中で竈(か
まど)の神や井戸の神をはじめさまざまな神をまつ
ったが,一般に水稲耕作は定住性と結束の強い
共同体を生み出し,そこでまつられる神々は,共
同体の祖先神であり,土地の守り神と考えられる
ことが多かった。集団の信仰である神道は,個人
の信仰としての性格が希薄であったから,個人の
救済が求められるようになると,仏教との習合が
進むことになった。
[神社と神官] 祭りのたびに神々を迎える信仰
のもとでは,神々が来臨する磐座(いわくら)・磐境
(いわさか),祭りが行われる森や山などが神社で
あり,神殿は作られない場合が多かった。しかし,
建築の発達につれて,神体,御霊代(みたましろ),
神宝などを安置する秀倉(ほくら)や,神をまつる
人々がこもって潔斎をするための建物が建てられ
るようになると,前者は本殿へ,後者は幣殿・拝殿
つづく