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「経済成長も、世界の注目を集める革新的な発明も、これからの日本で起こるとは思えない。
ですから、若者たちは『経済的に豊かになる』という価値観を捨て始めました。これまでは親と同等か、
あるいはそれ以上に経済的に豊かな暮らしを送るのがひとつの目標でしたが、
『もう親を越えるのは無理だし、地元で仲間と楽しく過ごそう』と、価値観の転換を図っています」
元フリーターで、若者の生きづらさをテーマにした共著もある、津田塾大学の萱野稔人准教授は、
若者が置かれている状況をこう説明する。
若者たちが経済的な豊かさを諦めるのも無理はない。
彼らが今後、どれだけの経済的負担を強いられるかはデータや試算をみれば一目瞭然だ。
2月6日、年金に関する内閣府の衝撃的な試算が明らかになった。
現在57歳より下の世代は、保険料を支払う額のほうが、年金を受け取る額よりも多くなるというのだ。
薄々気づいていたことであるが、具体的な数字を突きつけられると、改めて背筋がゾッとする。
たとえば1950年生まれ(今年62歳)では生涯の保険料の支払い額1436万円に対し、受取額は1938万円と、
502万円ほど「得」をするが、'60年生まれであれば保険料の支払い額が2066万円なのに対して、
年金受け取り額は1783万円と283万円のマイナス。その下の世代はさらにマイナス分が大きくなり、
'75年生まれだと588万円、'85年生まれでは、実に712万円も「損」をする計算だ。
払えば払うだけ損になる---。そんな年金制度を信用できるわけもなく、社会保険料を納付しない若者が急増するのも無理はない。
事実、35歳以下の若者の半分が、保険料を納付していないというデータもある。
損をするのは年金だけではない。道路やダムといった社会資本や、医療・介護などの公共サービス全般から得られる「受益」と、
そのサービスを供給するのに必要な税金・保険料などの「負担」を世代別に比較する「世代会計」という分析法を用いれば、
世代間における格差がくっきり浮かび上がる。一橋大学の小黒一正准教授が指摘する。
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