18/10/01 21:45:16.00 9ySBHc+x0.net
>>229
226ゲットおめ。
昔話をしましょうか。
はるか昔、そうちょうど南の大陸で稲作が始まった頃です。そこにある一族がおりました。
人の病を治せる不思議な力を持った一族でした。はるか未来を見通し人の心も読み地下深くの水脈を感じ取れました。
その特殊な力で彼らは多くの人を救いました。その評判は遠い海の島々にも響き渡りました。
東の島からやってきた肌に刺青の入った人々に請われて、一族の何人かは島の大きな船に乗って東の海へ漕ぎ出しました。
生まれて初めての船旅とまだ見ぬ新天地に、彼らは期待で胸を膨らませました。
昼は空のように真っ青な海を、羽の生えた魚が彼らの船出を歓迎するかのように飛び回っていました。
夜の静かな海では船乗りたちが一際輝く星に手をかざしてはその下に向けて船を動かしました。
出発してから何度目かの日が昇ったところ、なんとそこには緑に溢れた島がいくつも浮かんでいました。中には白玉の首飾りのように細長い島もありました。
一族はどの島にも降り立ち、島では治らなかった病をつぎつぎに治癒しあるいは乾いた大地に潤いもたらしました。
島の人々は彼らを神と崇めたたえ深く感謝しました。大陸へ帰るはずだった彼らに島へずっといるようお願いしました。
一族も大陸にはない島の植物や動物たちを面白く思って、快くその願いを引き受けました。
神としてずっとあなた方を護り支えよう、生命を育む夏の太陽のように、と。
それから島の人たちが約束のことをさっぱりポンと忘れ去っても、一族の今の長はその古ーい約束を
守りつづけようとしているのでした。おしまい。
以上創作ssでした。