16/05/02 19:07:11.27 0.net
>>699
目の前のまだ幼さが残る女性は驚いて口をパクパクさせている。
あの表情から推察するに9割方はあたっているのだろう。
人間の表情が提示する情報というのはあまりに多い。
しかしこの調子だと確かに俺は探偵に違いない。
人の心なんてあまりに―――――だ。
思考に靄がかかっている。
おそらくこれは無くした記憶の一部なのだろう。
だが、何故だろう?
あまり心地の良い記憶では無い気がする。
これは父親の記憶か?
「茜さん、僕の父のことについて何か知っていますか?」
「いえ、まったく聞かされて居ません。」
「そうですか……。」
どうやら父親関連はあまり思い出さない方が良いのかも知れない。
思いつきで茜さんという女性の唇を奪ってみる。
「―――なにしてるんで、ぐう!?」
「……プハァ、いや、思いつきです。」
「へ?」
「嘘です、記憶は失ってしまいましたが、貴方のような可愛らしい女性が傍にいてくれて、
『私はとても嬉しい。』『私は恐らくとても幸せな人間だ。』
『貴方という人間に感謝したい。』
私は貴方を困らせていたようですが、とりあえずその問題の解決にまずは努めたいと思います。」
茜さんとやらは顔を真っ赤にしてしまった。