【長田もんの】真・神戸のアウトロー【意地】at 4649
 【長田もんの】真・神戸のアウトロー【意地】 - 暇つぶし2ch680:子供をひきずって彷徨うこともないだろうな……。  姿が見えなくなるまでずっと手を振り続ける花子さんに手を振り返し、青年は少女が差しだしていた紙の束を見た。紙一枚一枚に学校の皆のそれぞれの願い事が書かれている。  ……まあ、これくらいは役得だろう。  青年はひと通り短冊の体裁を整えた紙の束に綴られた文面を見て楽しむと、それを大事に懐へとしまい込む。  さて、と一息つき、唐突に地を蹴った。  宙に浮いた足の下を風が駆け抜ける。  風は直進方向にあった竹をニ、三本勢いのままに捻じ切ると青年の方へと方向を変える。 「ふむ」  その様子に青年は頷き着地すると片手を前に突きだした。その手には光が宿っている。  小さく肺に空気を入れ、間髪いれずに鋭く喉を震わせた。 「破ぁっ!」  裂帛の気合と共に手から光弾が疾り、青年に向かっていた意志ある颶風の先端で白光が弾けた。  同時に獣が地面に落ちる。  地面で呻いている旧知の顔を確認すると青年は呆れ半分感心半分に声をかけた。 「懲りんなぁ……」 「うるせえ、俺の勝手だろうが」  地面に落下した青年の旧知、中年男性の顔をした犬がだみ声で青年に悪態をついた。 「たまには身体を動かしたくなんだよ」  尚も不遜な態度で人語を繰る人面犬に髪をボリボリ掻きながら青年はポケットに手を突っ込んだ。中から煙草とライターを取り出すと火を付け、中年男の顔を持つ犬へとくわえさせてやる。  当然のように人面犬は深く煙を吸いこむと、満足そうに煙を吐き出した。前脚で青年の持っている彼用の煙草を指し、 「おい、お前も吸え」 「俺は要らんよ」  付き合いわりいなと毒づく人面犬に青年は小さく笑う。




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