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Business Journal 2018.05.19
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年金支給開始年齢が68歳に?
4月11日に行われた財務省の財政制度等審議会の分科会において、社会保障の改革案が提示されました。
そのなかで医療費の抑制と併せて、年金支給開始年齢の繰り下げということが提起されています。
具体的なシミュレーションの案のなかで68歳にした場合、というのがあるため、報道では68歳への
引き上げが検討されているという書き方がされています。
まず事実関係から考えてみますと、財政制度等審議会というのは、財務省に付属して設けられている
財務大臣の諮問機関で、基本的な財政制度や各年度の予算のあり方などについて重要な勧告や提言を行う
という役割を持っています。6月に策定される予定の財政健全化計画のなかにおいて、社会保障費の増大を
いかに抑制するかという提言を盛り込むために議論されたもののまとめといって良いでしょう。
ただ、これはあくまでも財務省が財政上の懸念から作成したもので、実際に年金制度を管掌しているのは
厚生労働省ですから、この提言でもってただちに支給開始年齢が繰り下げられるというわけではありません。
ただ、厚生労働省が5年に一度行っている年金の財政検証、直近では平成26年に実施された検証のなかで
年金支給開始年齢を繰り下げた場合のシミュレーションが出ていますので、それらの数字も踏まえた上での
財務省の資料ということになるでしょう。
別に両者が対立しているというわけではありませんが、年金の原資は厚労省が管轄の社会保険料と
財務省が管轄する税金の両方から出ていますから、財務省としても口を出すのはある意味当然だといえます。
ただ、年金支給開始年齢は60歳から65歳までの引き上げがようやく完了しようとしているところですから、
ここからただちに68歳とか70歳まで繰り下げられる可能性は少ないでしょう。マスコミはややもすれば
国民的に関心の高い年金問題をセンセーショナルに取り上げる傾向がありますが、あまり短絡的に
心配する必要はないと思います。
(中略)
起こり得る年金の繰り下げに備えて考えておくべきこと
したがって、すぐに68歳や70歳への繰り下げはないといえるものの、将来を見据えれば可能性はあるし、
その対策は考えておくべきと言えるでしょう。対策としては大きく2つあります。
まず、ひとつ目は働けるうちはできるだけ長く働くことです。現在でももし70歳まで働いて年金の支給開始を
自主的に65歳から70歳へ繰り下げると、その後の給付額が生涯にわたって42%増えます。どんな資産運用よりも
高い利回りを実現できる可能性があるわけですから、70歳まで働くことを目標に考えるべきでしょう。
仮に70歳でリタイアしたとしても、平均寿命まではあと11年あります。そう考えれば支給開始年齢が上がっても
心配することはありません。
2つ目は自分自身での老後の備えを手厚くしておくことです。最近では老後の資産形成に向けて税制が
優遇されているiDeCo(個人型確定拠出年金)のような制度もありますし、会社員と違って厚生年金のない
自営業者は、その分多めに積み立てて将来に備えることのできる「国民年金基金」や「小規模企業共済」といった
制度もあります。こうした制度はいずれも自助努力の部分です。現在の年金制度を否定したり悲観したりするのでは
なく、あくまでもベースに置きながら、プラス個人の自助努力の部分を積み上げていくことが大切と
いえるのではないでしょうか。
(文=大江英樹/経済コラムニスト)
(全文は記事元参照。全3ページ)