18/01/21 09:23:39.83 CAP_USER.net
「North Korea plays the South, again」―。
先ごろ、米ニューヨーク・タイムズ(アジア版)の1面に掲載されたコラムの見出しは、最近の南北関係について、正鵠(せいこく)を射ている。「北が韓国をまたもだましている」「北が韓国をもてあそんでいる」とも翻訳可能なこのコラムの筆者はニコラス・エバーシュタット氏。アメリカンエンタープライズ公共政策研究所(AEI)の上級研究員だ。
ハーバード大で博士号まで取得した秀才で、長期にわたり北朝鮮をウォッチしていることで知られる。ワシントン勤務当時に会った同氏は北朝鮮が「偽装平和作戦」を展開するたびに韓国がだまされることが理解できない様子だった。長身で眼鏡姿の同氏が南北関係について語りながら、首を振る姿が印象に残っている。
エバーシュタット氏はコラムで、現在韓半島(朝鮮半島)で起きている状況を「ウィン・ウィン」のゲームだとはとらえていない。北朝鮮が勝利者で、韓国が負けるゲームだとみている。そして、「こっち(北朝鮮)が『ジャンプ』と言ったら、そっち(韓国)は『どれだけ高く跳べばいいのか』と尋ねろ」といった調子のゲームが始まったと形容した。
彼の分析通り、北朝鮮の30代の指導者が新年のあいさつで「冬季五輪」と「平和」に言及すると、韓国政府は待ってましたとばかりに北朝鮮の全ての要求を受け入れた。今月9日、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後初の高官級協議の合意文書は「北朝鮮の新年のあいさつをコピーした」と言われるほど、金正恩(キム・ジョンウン)の言葉そっくりだった。
平昌五輪の選手団に関する会談が開かれもしないうちに「芸術団」派遣をめぐる会談が開かれるという世にもまれな出来事まで起きた。その後、17日に行われた実務者協議では、韓国の側から北朝鮮の馬息嶺スキー場の共同利用を提案した。既に昨年の段階で北朝鮮にそうした構想を伝えていたという。
馬息嶺スキー場とはどんなところなのか。金正恩がリフトに乗る姿を北朝鮮メディアが報じるほど彼の愛着が強い場所だ。北の歓心を買おうという意図でなければ、大会開催地以外での共同練習を提案した理由は理解し難い。
文在寅大統領は、検察による捜査を受ける可能性が高まった前大統領による抗議声明には「憤りを禁じ得ない」と怒った。
しかし、北朝鮮が文大統領に対し、核問題で「間抜けな詭弁(きべん)」を弄(ろう)したと責め立てても、全く反応を示さなかった。「これほどまでに無礼で愚昧(ぐまい)なのか」と北朝鮮に暴言を吐かれても、文大統領とその側近は沈黙した。
こういうことは挙げればきりがない。「南北関係がひと月足らずで上下関係と化した」という嘆きが聞かれる。
北朝鮮が次から次へとニュースを量産する間、本当に重要な非核化論議は音もなく消え去りつつある。会談場所に現れた北朝鮮側は機会があるたびに「6・15精神(2000年の南北首脳会談の精神)を取り戻そう」と言う。「核」には触れず、「民族同士」という文言が盛り込まれ、自分たちに有利な第1回南北首脳会談での合意を強調したものだ。
韓国側代表団は退屈そうに天気の話をするばかりだった。北朝鮮も同意した韓半島非核化共同宣言、9・19共同声明(05年の6カ国協議における共同宣言)、07年の2・13合意の精神に立ち返ろうという言葉を切り出せないのが現実だ。
金正恩が今月1日、核と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を放棄しないために南北対話を提案した段階では、北朝鮮は文在寅政権がここまで積極的に乗ってくるとは想像もしなかったはずだ。韓国に「ジャンプしろ」と言ってみて、1メートルも跳んでくれれば御の字と思っていたら、韓国側は必死に2メートルも3メートルも跳ぼうとするものだから不思議に思ったはずだ。
金正恩は過去数カ月、米国のB1B爆撃機編隊や空母が接近するたびに地下施設や地方に潜伏したとされる。「まさか米国が攻撃するはずはない」と考えつつも、緊張したはずだ。そんな金正恩は今、平壌の執務室で緊張を解き、ソウルと平昌が描かれた地図の前で満足の笑みを浮かべているはずだ。
2018/01/21 05:09
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