17/08/16 08:24:17.06 CAP_USER.net
(>>1の続き)
さらに、欧州で大人気の仏のSF大作で、米では7月21日、仏では同26日に封切られた「ヴァレリアン・アンド・ザ・シティ・オブ・ア・サウザンド・プラネッツ(原題)」(リュック・ベッソン監督)や、英米で7月21日に封切られた英米仏蘭合作の戦争映画「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督)といった、
世界各国でのサマーシーズン需要狙いの大作についても、中国ではそれが終わった秋の公開になるといいます。
ちなみに、2015年の「ブラックアウト」は6月19日から8月いっぱいまで行われましたが、昨夏は国内の夏の映画興行収入全体が不調だったため、「ブラックアウト」の期間を短縮。そのため7月末から8月にはハリウッドの娯楽大作がたくさん公開されました(今年7月11日付米業界誌ハリウッド・リポーター電子版)。
しかし、今年は一転、これを完全復活させ、例年通りの厳しい「ブラックアウト」になりました。やはり「スパイダーマン」と「猿の惑星」といえば、単なるハリウッドの人気映画というより、米文化のアイコン(象徴)ですから、当局としては人民に“そんなんより、自国の映画と文化に親しみなさい”という強力なメッセージを送ったとしか思えません。
そして実際、今夏の「ブラックアウト」は大いに効力を発揮しました。北京にある映画を中心としたエンタメ系リサーチ会社EntGroupの調べでは、6月25日までの週の中国国内の週間映画興収ランキングを見ると、ベスト10の10作品のうち、5作品はハリウッドを中心とした海外作品でした。
ところが「ブラックアウト」実施中の7月30日までの週の週間映画興収ランキングをみると、当たり前ながら、「ウルフ・ウォリアー2」や「ザ・ファウンディング・オブ・アン・アーミー」、「ブラザーフッド・オブ・ブレーズ2」といった自国の作品ばかり。
唯一、ランキングに入っていたのはハリウッドの人気作「怪盗グルーのミニオン大脱走」でしたが、この作品の公開は「ブラックアウト」施行前の7月7日…。
とりわけ今夏は、8月1日に人民解放軍が創設90周年を迎え、記念式典などが行われました。そのため、国内の映画のほとんどは、この節目を祝うさまざまな記念行事に歩調を合わすかのように、その1週間前に公開。
内容も、米の傭兵と戦う中国軍の元特殊部隊のメンバーの活躍を描く「ウルフ・ウォリアー2」のように、愛国心や自己犠牲に重きを置いたものが目立つといいます。
人民と業界の熱狂をよそに、ハリウッド映画に対する中国当局の徹底した“塩対応”に感服してしまうわけですが、米政府もハリウッドと中国資本が親密になることに強い拒否反応を示し始めています。
8月2日付米業界誌ハリウッド・リポーター(電子版)を読んで驚いたのですが、野党である米民主党のチャック・シューマー上院院内総務が、昨今のハリウッドに流れ込む中国資本に代表される中国の対米投資を阻止するよう、ドナルド・トランプ大統領(保守・共和党)に書簡を送ったというのです。
具体的には、各省庁の横断組織で財務省が運営する「対米外国投資委員会(CFIUS)」の権限を行使し、中国企業が米で行うすべての合併・買収(M&A)案件を中止するよう求めたのです。
米の議員たちは、こうした状況を放置しておけば、米の映画業界やメディア企業が、中国のプロパガンダ(特定の主義・思想についての政治的な宣伝)に利する危険性があると警告していますが、シューマー氏はさらなる危険を放置するわけに行かないと強く訴えます。
どういうことか?。彼はトランプ大統領に送った書簡でこう訴えたのです。「米が中国に経済的圧力を強めない限り、中国が北朝鮮を抑止することはないというのが私の評価であり、米は中国政府に明確なメッセージを送る必要がある」
つまり、ハリウッドに代表される中国の対米投資を放置すれば、自国の映画やメディア企業が中国の手先になるばかりでなく、核ミサイル計画を着々と進め、いまや世界の脅威となっている北朝鮮にも利することになるというわけです。
7月14日付の本コラム「“貧しい北朝鮮”は大ウソ? 強気ミサイル発射のワケは…山岳に眠る『1100兆円』と、あの国の存在」
URLリンク(www.sankei.com)
でもご説明したように、中国は北朝鮮にとって重要な資源輸出国。米が中国に怒り心頭なのは無理もない話です。
(続く)