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◆時代を駆ける:小林直人/1 「暗い韓国」との出合い
日韓両国は今年、歴史・領土問題をめぐる対立で「暑い夏」を体験した。
「話せば理解しあえる。理解できないのは徹底的に話し合わないからだ」。
韓国在住の小林直人さん(63)にはもどかしい。
その信念の背景には70年代末から現在まで計5回19年間、
商社マンや両国の公的機関に勤務しながら韓国に滞在し、韓国現代史を見た経験がある。
《今は2300人以上のスタッフを抱えアジア最大級の「金・張法律事務所」(KIM&CHANG、ソウル市)で
日本企業の対韓投資などをサポートする常任顧問を務める。
日韓学生交流に力を注ぎ、両国の望ましい未来作りを若者たちに託そうとしている。
しかし、韓国との出合いは快いものではなかった》
丸紅入社以来、鉄鋼貿易部門に所属し、韓国には出張経験もありませんでしたが、
79年、突然、ソウル勤務を命じられました。駐在員25人の中で最年少の30歳でした。
赴任から3カ月後の10月26日夜、朴正熙(パクチョンヒ)大統領の暗殺事件が起きました。
《61年、軍事クーデターで政権を握った朴大統領は経済発展の基礎を築く一方、独裁体制を築いたが、
79年側近に銃撃された》
当夜、事件は報道されず、翌27日午前3時半過ぎ、丸紅から韓国企業に出向していた先輩から自宅に
「大統領が殺されたかもしれない」と電話が入りました。
朝になり、ソウル中心部の支店に恐る恐る出社しました。
当時、電話は盗聴されていたので、本社の問い合わせにも公式発表以外、答えようがありません。
「北朝鮮がどう動くか分からない」という日本大使館の帰国勧告で家内は大統領の国葬があった
11月3日に帰国しました。
《同年12月、全斗煥(チョンドゥファン)保安司令官(後に大統領)が政権を掌握した。
翌80年、民主化運動を主導した金大中(キムデジュン)氏の逮捕、光州事件と韓国は激動の時を刻む》
非常戒厳令が出され、北朝鮮の動向も不透明。軍事政権下、人々は気持ちを正直に明かせない。
すべてが暗い時代でした。
毎日新聞 2012年12月18日 東京朝刊
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