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未来の党分裂 卒原発願う票への背信(12月29日)
全国で342万3915人、うち道内は8万1838人。
衆院選比例代表で公示直前にできた日本未来の党に票を投じた有権者の数だ。
その党が、選挙後2週間足らずで分裂した。同党が訴えた「卒原発」に共感し投票した人の中には憤りを感じる人も多いのではないか。
小沢一郎前「国民の生活が第一」代表を共同代表にするかどうかでもめた末だ。小沢氏側が、元日の議員数などで決まる政党交付金を自由に使いたかったためとの指摘もある。
有権者の思いを無視した手前勝手な政治行動にあきれる。
自らの不人気を自覚して選挙では後ろに隠れ、終わると実権を求める。担いだ政治家が思い通りにならないと切り捨てる。政党をつくっては壊しを繰り返す。小沢氏のそんな手法はもういいかげんにすべきだ。
未来の党は滋賀県の嘉田由紀子知事がひと月前、原発稼働ゼロから全原発の廃炉を目指す「卒原発」を旗印に結党を表明した。
国民の生活が第一はその日のうちに合流を決めた。亀井静香前国民新党代表や山田正彦元農水相、日本維新の会との合流が破談になった河村たかし名古屋市長の新党も続いた。
クリーンなイメージの嘉田氏を「選挙の顔」として担ぎ、第三極の一方の核として期待感を集めようとする小沢氏の戦術が透けて見えた。
それでも、早期の原発ゼロを願っても投票先が見つからなかった有権者の受け皿となる役割を一定程度果たしたと言えよう。公示前の62議席から大幅に減らしたが、小選挙区で2人、比例代表で7人が当選した。
なのにこの騒動である。
小沢氏は「一兵卒に徹する」と、党役員には就かない考えを示していた。側近の森裕子参院議員も「(人事は)嘉田氏が決める」と語った。
だが選挙が終わるや、森氏らは小沢氏を共同代表にするよう求めた。
嘉田氏は抵抗したが小沢氏側のごり押しが通った。党名を「生活の党」に改め、約8億円の政党助成金の大半は小沢氏側が受け取る。政党の乗っ取りだとの指摘はもっともだ。
嘉田氏やブレーンの飯田哲也代表代行らは離党し党名だけ引き継ぐ。
小沢氏はきのうの会見で、脱原発政策を維持し嘉田氏らと引き続き連携する考えを示した。それならば分党の必要はなく、説得力はない。
影響力が低下したとはいえ、小沢氏の政治活動や言動は今後、容易に信用するわけにいくまい。
「小沢氏を使いこなす」と豪語していた嘉田氏も、利用されたことを深刻に反省すべきだ。小沢氏の底意を見抜く眼力がなかったのは政治家として未熟で、責任は免れない。
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