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2日の参院予算委員会は、新型コロナウイルスに関する安倍晋三首相の記者会見後初めての国会論戦となった。野党の質問は、全国一斉休校による現場の不安をどう払拭(ふっしょく)するのかに集中。一方、首相らの答弁は国民や自治体に協力を求める姿勢が目立ち、今後の具体策については曖昧さが残った。「見切り発車」による準備不足を露呈した形だ。
「学童保育の施設は非常に狭い。濃厚接触のリスクは高くなる」。立憲民主党の福山哲郎幹事長はこう語り、政府が休校による子どもの受け皿として学童保育を活用するとしていることの問題点を挙げた。
加藤勝信厚生労働相は「学童クラブはただでさえ人が多いという指摘がある。これ(子ども)が増えるとリスクが高まる。その通りだ」と認めざるを得なかった。自治体の取り組みとして、学校の空き教室を開放して教員が手伝うなどの工夫が行われていると説明したが、福山氏は「学校で授業をやっているのとどこが違うのか」と訴えた。
首相は「事前の準備にかける時間が少なかったのはその通りだ」と釈明。「さまざまな課題に対応して、国としても協力していきたい」と語るのみだった。
質疑では小中高校を休校とする一方、保育所や幼稚園を休みにしなかった疫学的根拠がなかったことも判明した。立憲の蓮舫参院幹事長に、国立感染症研究所の脇田隆字所長は「リスクの比較は行っていない」と明言。首相も「疫学的な判断は困難だ」と述べた。
さらに、首相が休校に関し専門家の意見を聞いていなかったことも分かった。関係閣僚である萩生田光一文部科学相と加藤氏は、首相の意向を把握したのは発表当日の2月27日だったとし、調整が生煮えだったことも浮き彫りになった。
福山氏は質疑後、記者団に「協力を惜しむつもりはない」としつつ、「収束に向け政府が動いていると具体的に見せない限り、国民の不安は消えない」と指摘した。
自民党の参院幹部は「首相はかなり疲れている。厚労相も混乱している」と懸念を示す。ベテラン議員は「根拠のない決断では国民は納得しない」と語った。
2020年03月02日19時29分
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