08/08/23 23:26:26 g33XbNLZ0
我々の棲む森から降ると、牧場が点在する。
敷地は広大に在るのに、牛たちは狭い牛舎に閉じ込められている場合が殆どだ。
乳牛の牧場も肉牛の牧場もある。
たまに、肉牛の牧場で牛のささやかな放牧風景を見かける。
そこを通る時には、辛い。
心の中で祈りを捧げる。
子牛もいる。母牛もいる。
車を止めて、彼らの元に歩む。
母牛は、必ず子牛を護る態勢に入る。
子牛は母牛の陰に隠れて様子を窺う。
子牛が無邪気に出ようとすると、母牛が制する。
母牛の、子を想う気持ちが、痛いほど伝わる。
子牛の、母を想う気持ちが、痛いほど伝わる。
私は柵の際に座る。そのまま何もしないでジッと座る。
やがて母子牛は安心し、私の元に寄って来る。
子牛が遊びだす。無邪気におどけて遊びだす。
子牛の遊ぶ姿は、例えば、子犬と全く変わらない。
本当に子犬と変わらない。天真爛漫そのものだ。