20/12/13 01:56:09.52 Hujv6bby.net
>>開発段階の競争状況
まずオノンの開発前史、すなわち PG 研究における競争状況について述べておこう。小野薬品が PG 研究に着手してしばらくの間、本格的に競合する企業は少数であった（例外的な競合企業としてアップジョンが存在する）32。こうした競争状況の背景には、①PG は多彩な生理作用を示すものの、不安定な物質なため、医薬品になりにくいとする認識があったこと、②PG の初期医薬品は、市場規模が大きくなかったため（例えば産婦人科向け医薬品）、大手製薬企業が参入してこなかったことが挙げられる。しかし、1970 年代には、PG 研究の進展を受け、多くの企業が参入している。同分野では、まずアップジョンが先行し、それを小野薬品、ICI、シンテックスが追随、その後も参入が続き 70 年代半ばには 20 数社による特許競争が繰り広げられた（林, 1983, p. 88）33。ただし、多くの企業が複数ある研究領域の一つとして PG 医薬品の開発を行っていたのに対し、小野薬品は研究資源の大部分を当該分野に投下していたことは特徴的であり、このことが同社におけるアラキドン酸関連技術の蓄積に繋がっていると考えられる。