24/02/01 18:36:11.02 nkXreRAg.net
つづき
可算無限個の長方形を使った測度を考えます。図形(平面の有界な集合)Sを,重なりを許した
可算無限個の長方形I1,I2,...で覆ったとき,それらの長方形の面積I1, I2,...の和の下限inf ∞ ? i=1 IiをSのルベーグ外測度といい,m∗(S)で表します。
カラテオドリの意味の可測性もなりたつことが知られています。より一般的には,上の性質1~3を満たすm∗を外測度といい,それがある集合に対してカラテオドリの意味で可測であるとき,その集合を可測集合といい,その外測度を測度とよびます。
零集合と「ほとんどいたるところ」
ここまでの議論をふまえて,最初の「有理数全体の幅」の問題を考えます。ここまでは平面上の図形を長方形で覆うイメージを思い浮かべてきましたが,ここでは,数直線上のある集合を「区間」を組み合わせて覆うことを考えます。有理数は可算無限個あるので,ジョルダン測度の考え方で「幅」を考えることはできません。そこで,ルベーグ測度で考えます。有理数は可算ですから,通し番号をつけてa1,a2,...an...と表すことができます。ルベーグ測度の考えでは,有理数の集合が数直線上でもつ幅は,有理数全体を区間の組み合わせ(重なってもよいことに注意)で覆ったときの,区間の長さの合計の下限です。そこで,εを任意の正の数とし,a1を幅ε/2の区間で,a2を幅ε/2^2の区間で,・・・,anを幅ε/2^nの区間で覆うとします。このとき区間の長さの合計は
ε/2+ ε/2^2+・・ + ε/2^n+・・ =ε
となります。εは任意の正の数ですからいくらでも小さくすることができるので,区間の長さの合計の下限は0となります。すなわち,有理数全体のルベーグ測度は0となります。
したがって,最初の問題
で,積分区間内の有理数に対応する線を,積分からすべて抜き取っても,積分の値(面積)は変わらない,ということになります。ルベーグ測度に対する有理数の集合のように,測度が0である集合のことを零集合といいます。また,「測度0の集合を除いた部分で」ということを,ほとんどいたるところ5で,といいます。次回は,ルベーグ測度を基盤として構成された積分(ルベーグ積分)によって,これまで学んだ積分(リーマン積分)では表現できない積分を表すことを考えます。
(引用終り)
以上